熊本と人吉を結ぶSL人吉は、令和2年の豪雨によりしばらく運休を余儀なくされていたが、今般佐賀県鳥栖駅から熊本駅間へと区間を変更の上、特別運行することとなった。
JR九州は昨年の「令和2年7月豪雨」で被災した肥薩線沿線の応援企画第2弾として、5月1日から鹿児島本線で「SL人吉」の運行を開始した。上り列車は熊本駅10時50分発・鳥栖駅13時24分着で運転され、各駅でイベント等も実施された。
https://news.mynavi.jp/article/20210501-slhitoyoshi/
区間は違えど沿線の方の暖かさは変わらず、とても思い出に残る車窓となったので詳細記録したいと思う。
人吉に乗車したのは21年6月。小倉駅から新鳥栖駅へ移動、鳥栖駅へと入った。その前に博多駅から小倉駅までは同じD&S列車であるかわせみやませみに乗車したのでその記録もご覧いただきたい。
鳥栖駅は、駅そばで有名な中央軒があることで有名。九州でも最古参の歴史を持つ駅だ。その中でもさらに年季の入ったホームにSL人吉はいる。通勤電車がひっきりなしに発着するなか、蒸気を出す機関車が堂々と停車している姿はどこか心を感動させる。
ホームにはこの列車に乗る方、乗らない方含め多くの方が訪れており、思い思いに記念撮影や、普段出来ない機関士との会話などを楽しんでいた。久しぶりの運行を待ち侘びた雰囲気が、ホームに溢れていた。
出発の時間。短い汽笛のあとゆっくりと走りだす。鳥栖から熊本方面へはSLではなく、ディーゼル機関車が牽引、SLは最後尾でひっぱられる形となる。
ホームから手を振ってくれる人の多さに驚く。鳥栖駅なんてそんなに人が多くないだろうに、切れることのない人出にはやくも感動しそうになる。
列車はゆっくりと、そして力強く進む。ここから先は熊本まで、大体九州新幹線に沿う形で鹿児島本線を進む。途中、久留米、大牟田、玉名に停車予定だ。
市街地を抜け、すぐに田畑が広がる光景が飛び込んでくる。そして、手を振ってくれる沿線の人の多さにまた驚く。「おかえり人吉」と書かれたプラカードを持った方も。SLも汽笛で答えていく。九州新幹線の開業CMや流れ星新幹線といい、この地域の人はどうしてこう暖かいのか。
そして沿線を左右に眺めている間にもSLは佐賀から熊本へと着実に歩みを進める。この日の予報は雨にもかかわらず、かろうじて晴れ間が見える天気も奇跡に近いものを感じる。
SLの車内は、ファミリーや、鉄道好きの友人たちなどさまざまだ。編成両端の展望デッキは終始空いており、そこからはSLやDLを間近に眺めることができるのでぜひお勧めしたい。
また、販売カウンターではD&Sグッズの他、球磨焼酎などの名産品も販売している。本来走っていた熊本-人吉の名産を楽しむことができるのも魅力の一つだ。球磨焼酎をロックで飲みながら車窓を眺める。
車窓を3時間を眺めていて感じたが、SLは大きく沿線からもすぐに気づいてもらえる。しかし、下を見ていたりスマホを見ているとなかなか気づくことは難しい。SLを見たことすら気づかずに過ごしてしまう。これからはうえを向いて歩こうと思う!